新・青空レモン ~詩平線の彼方へ~

詩を書き綴ります(旧はてなダイアリー終了にて再始動)

【詩】君と自転車

【詩】君と自転車

 

寂しい裏通りを

寂しい自転車が

寂しく傾いている

  

自転車は

君が乗れば

颯爽と走った

  

時に若々しく

時に勇敢に

時に慎重に

  

自転車は

いつも君の

よき友だった

  

自転車は

誰よりも

君と一緒に

坂を上り

坂を下った

  

晴れた日は爽やかに

雨の日は淑やかに

   

自転車を

降りてから

幾つの年月が過ぎただろう

 

人気のない

裏通りを

  

人気のない

時代を

  

人のいない

虚空の砂漠に

  

君の足跡が

続いていた

  

どこから来て

どこへ向かうのか

  

君の足跡に

寄り添うように

 

彼方まで続く

一筋の窪み

  

雨が降っても

風が吹いても

  

それは

消えることもなく

  

それは

消せる者もなく

  

君と