かなり前に
とある小さな街のコンビニで
キャラメルを買い
そのオマケに小さな磁石がついてきた
捨てずにリュックのポケットに入れて
入れたことも忘れていた
数年後
リストラされた僕は
そのリュックを背負い
ショーウィンドウを見ながら
街をさ迷っていた
何かにつまづいて
転んだ時に
リュックの紐が切れた
リュックは薄汚れて
ファスナーも壊れていた
公園のベンチで
何かないかとそのリュックのポケットに
手を忍ばせた
中からいつかの磁石が一つ出てきた
するとそいつが言った
「ぴったんこ」
と
僕はその声に笑ってしまい
「ぴったんこ」
と言い返した
次の日
僕の眉毛が
両方ともぴったんこになった