新・青空レモン ~詩平線の彼方へ~

詩を書き綴ります(旧はてなダイアリー終了にて再始動)

春の魚眼

  

休日最終日
快晴
 
カメラをぶら下げ
河川敷へ
 
東へ東へ
黙々とシャッターを
切り続けた
  
20年ぶりに
αの魚眼
風景を写し取る
 
20代の頃
初ボーナスで手に入れた
MINOLTA α7xi
 
ファインダーをのぞいた瞬間にはすでに
オートフォーカスも画角も全自動的に合っている
サイボーグのようなカメラだった
 
その象徴的なボタンが

だった
 
「ピントはもう合っている」
 
北斗の拳的に言えばそんな感じだった
 
標準ズームでも広角は広かったけれど
狭い画角への嫌悪感と
広く世界を映しこみたい衝動が
程なく魚眼を手に入れさせた
 
そんなレンズを
因果な事にSONYのα6000に
Eマウントアダプターを介し
取り付ける
 
AFは効かないので
ピント合わせは
全て自分の目と指
 
ちょっと油断すると
無駄にボケてしまう
 
でも
どこにフォーカスするのか
能動的になれるので
オートにはない
楽しさを知る
 
可変できる液晶ファインダーであっても
マニュアル撮影でのピント合わせは
ビューファインダーの方が精密だった
 
地べたにカメラを置きながら
シャッターを切る
 
虫の目線ならではの
春のサインに
気づくことができた
 
ふきのとう
テントウムシ
蜘蛛
白い毛が生えた枝
新芽
 
突風に吹き飛ばされた
帽子
 
転がりたかったんだね
と一人笑っていた
 
北海道の春は
他の県よりも遅いけれど
僕を 
楽しく優しく
迎えてくれた