新・青空レモン ~詩平線の彼方へ~

詩を書き綴ります(旧はてなダイアリー終了にて再始動)

9月の風

aozoraremon2010-09-08

 

9月の風が
2階の窓から
すうっと刺し込んできた
 
ギラついていた空が
化粧を落としてゆく
 
寮へ戻る休憩時間
黄色い蝶の大群
 

 
夏休みもとらず
帰省もせず
過ぎていった
それでも  
寂しくないという
幸せだけを残して
 
僕には
音楽がある
詩がある
絵がある
本がある
  
前世は悲惨だったらしいけれど
今は自由を感じている
休日には
やりたいことがやれる
自分で選んだ職業で
働ける嬉しさがある
 
金持ちじゃないけれど
毎日の生活には
困ってはいない
 
全ては有り難いこと
 
日々の老人たち
施設での生活
喜怒哀楽
毎日がドラマ
 
ばあちゃんも
体調が戻って
食堂で食べられるようになった
 
裸足をつっこんだ
サンダル
 
ひんやりした
9月の風
 
誰もいなくなった
食堂の窓を閉めた