この街に来て
6年が過ぎた
この街に来て
この街とは無縁の
東京から受注した
仕事を日々していた
本が好きで
気がつけば
本を作る
DTPオペレーター
になっていた
つまずいてばかりいた
作業能力は最低だった
以前の職場とは
うって変わって
肉体労働は皆無だったが
常に求められるのは
スピードと正確さだった
自分より遥かに若い
同期の殆どが
退職していった
休みの日は
住処の喧騒から
逃げ込むように
近くにある公園に行って
こころを癒していた
ひょうたん型の池を
松や柳が取り囲むように
待っていてくれた
このままで
終わるのか
ちがう
違和感を感じながらも
自分を鼓舞しながら
毎日働いていた
この街に来て
幾つかの曲を作った
メールを通じて
ささやかながら
遠距離の友人たちと
CDを作ったりもした
インターネットも始めた
チャットでは
実際には会ったことが無いけれど
近くの人には話せなかったことも
たくさん話した
ブログも始めた
今までは、ノートだけで
自己完結した詩に
誰かのコメントが
あった
素直に嬉しかった
深夜の残業から帰り
ブログのコメントを
見るのが
明日への活力にもなった
投資や投機もした
結果、金の燃える臭いを
かいだ
首の皮一枚で
この世に繋がった
自分の弱さを
見せられた
いろんなことが起きて
いろんなことが過ぎた
込みで人生
込みで自分
込みで現世
仕事を辞めてから
不思議と
福祉にかかわる
シンクロニシティーが
頻発した
一度は辞めた
この世界に
再び向かう事に
ためらいは無かった
独り身の気楽さと
厳粛さをかかえて
明日
この街から去る
不安な朝は
胸の光
志の光を
見つめて
そんな自分を裁くことなく
誰よりも愛せますように
がんばれ
自分
焦るな
自分
ありのままで
こんにちは
ありのままで
ありがとう
自分よ