新・青空レモン ~詩平線の彼方へ~

詩を書き綴ります(旧はてなダイアリー終了にて再始動)

牛歩

明日に接続されたプラグを引き抜き
昨日に接続されたプラ部も抜き捨てる

どこにも接続されていない
自分に立ち戻り
半径ゼロメートルの
リアルを感じている

雨に濡れながら
アシスト自転車のペダルを漕ぐ

もう11月の半ばも過ぎて
外も寒くなっている

牡牛座の僕は考える

魂の牛歩戦術

干支のおとぎ話で
一番自分の歩きが遅いことを自覚していた牛は
晦日の晩から準備して歩き始めた
その背に乗ったネズミがピョンと背中から降りて
一番になった。

もしかしてそれは
ネズミに気づかなかったのではなくて
気づかないふりをしていたのかもしれない

牛さんにとって
神様の前に一番に着くことよりも
もっとあたりまえのことのために
歩き出していたんじゃないかと

目的地について終わりじゃなくて
目的地について誰かに勝ったとかじゃなくて
目的地についたから自己満足でもなくて

その道中に吹く風を
咲く花を
生きる者たちを
感じながら歩くことを