新・青空レモン ~詩平線の彼方へ~

詩を書き綴ります(旧はてなダイアリー終了にて再始動)

言葉の引力

ネットもパソコンも
何もなかったあの頃

野球帽をかぶった僕は
従兄弟のおばさん家へ
母のお遣いに行った

そこには百科辞典
カラーボックスに
整然と並んでいた

夢中で読んでいると
「読みたかったら持って行っていいよ」
「うちの子たち読まないから」
と声をかけてくれた

大型本
重量もある
自転車の籠のキャパは
2〜3冊だ

シリーズごとに
分類された本の
何を借りたのか
今では覚えていない

なんとなく
科学・宇宙系だったように思う

読んでも読んでも
読み尽くせないほどの
分量だった

言葉の海だ

だけど
その後はほとんど
借りなかったように思う
性格的にも人からものを借りることに
抵抗がある

何しろ重い

しまいは飽きてしまう

所詮は辞書だ

辞書は引いてなんぼの道具

引いてこそ
その真価を発揮する

そして発見する

妙な繋がりを発見する面白さ

世界をバラバラに切り刻んだ言葉たちは
それ故に
どこかで繋がりたがっているのかも
しれない

全ての辞書にはどこか
その哀愁が隠れているのかも
しれない

そしてそれは

今のネットのハイパーリンク
爆発的に繋がり合う
引力なのかな