新・青空レモン ~詩平線の彼方へ~

詩を書き綴ります(旧はてなダイアリー終了にて再始動)

ピコ

aozoraremon2007-03-16

 
ピコが死んで
もう
二十年近く過ぎた
 
黄色い
セキセイインコ
 
雛鳥の時に
妹が店から
買ってきて
飼い始めた
 
囀りながら
スプーンの上の
餌を
急いで
啄ばんでいた
 
大きくなり
カーテンによじ登ったり
服の中にもぐりこんでは
もぞもぞ動いていた
 
新聞を読んでいると
必ずやってきて
端っこを
三角形に
改札して行った
 
ばあちゃんの
肩にのって
耳をもそもそ
つついていて
時に
カジっと
噛み付いて
イタタタと
跳ね除けられていた
 
台所の母の肩に乗って
茶碗洗いをする手を
じっとみていた
 
そして
 
最後は大きく翼を
広げて
この世から
羽ばたいて逝った
 
台所で
大根を切りながら
母は
ぽたぽた
涙を落としていた
 
しばらくたって
 
ピーナッツの殻を
割ったら
中から
ピコそっくりの
形をした
豆が出てきた
 
豆ピコと
名づけて
妹に見せた
 
食べずに
机の上に
飾っておいた
 
あれから
 
故郷を離れて
 
時々ピコの事を
思い出す
 
元気でいるだろうか
 
ピコ
 
私は元気でいるよ
 
お互いつかの間の
出会いだったかも
しれないけれど
今でも
忘れないよ
 
ありがとう
 
ピコ