新・青空レモン ~詩平線の彼方へ~

詩を書き綴ります(旧はてなダイアリー終了にて再始動)

幻私

aozoraremon2007-02-27

 
一つの「私」が
二つに分かれ
二つの「私」が
更に分かれ
止むことなく
分離し続けた
 
最初の頃は
分かれたものも
「私」であると
気づいていたけれど
 
あまりに分離し続けてしまって
一つ一つに名前をつけた
 
際限がないので
大きく
「私」と
他人に
分けた
 
他人はまるで
「私」とはまったく違うものと
認識するようになった
 
いつしか
分離した事すら忘れてしまい
もとから
他人と決めてつけていた
 
そのうち
無数の「私」は
国を作り
国境を作り
資源を蓄え
戦争を始めた
 
「私」以外と見える者は
全て敵となっていた
 
幾多の文明が
栄え滅んでいったが
「分離」の過程として
何一つ変わる事はなかった
 
当然
因果律
分離を象徴する
現象を生じさせる
ワンパターンだった
 
「私」は何処にいるのか
今、ここにいる。
そして
今、ここにいない。
 
「私」は何時現れるのか
今、ここにいる。
そして
今、ここにいない。
 
一切は
「私」が「私」を
分離した事から
始まった
時の