父が引き出しの整理をしていると
懐かしいモノたちが
出てきた
小学生の時に近所の友達にもらった
遊覧船のメダルキーホルダー
その友達の家は今も変わらず
同じ場所にあるが
今では別の人が住んでいる
20代の時に住んでいた寮の鍵
後に解体され駐車場になっており
存在すらしない
廃墟のように建っていた
寮
メダルも
鍵も
もはや過去の遺物
それがあるからといって
何かに使えるものではない
鍵穴を失った
鍵
永遠に
開かずの間となってしまった
部屋
ドーナッツの
輪を失った
ドーナッツの穴は
どこへ行った
自我という名の
穴に落ちた
世界