新・青空レモン ~詩平線の彼方へ~

詩を書き綴ります(旧はてなダイアリー終了にて再始動)

中空遊戯のかくれんぼ

原子は
細胞を知らず
機能のままに

細胞は
組織を知らず
機能のままに

組織は
器官を知らず
機能のままに

器官は
個体を知らず
機能のままに

個体は
自我を知らず
機能のままに

自我は
無我を知らず
機能のままに

そこには
それぞれの物語があって

そこには
何もない

機能が機能のままに
あるだけ

自由に見えて
制限にも見えて

自覚なき
振る舞いのまま
時に悩み
時に苦しみ
時に笑う

まるでその思考を
自分が作ったかのように

まるでその感情を
自分が感じたかのように

万象万物が
自由勝手に振る舞いながらも
陽は上り
陽は沈む

まるで
太陽が回っているようで

まるで
地球が回っているようで

まるで
自我が認識しているようで

脳ですら
自由な細胞の集合体

指令しているかのようで

そこに指令しているものなど
何もない

そこは
中空

そこは
虚空

そこは
何もなく

何もないことすらも
ない

振り向けば
もう
誰もいない

かくれんぼ