新・青空レモン ~詩平線の彼方へ~

詩を書き綴ります(旧はてなダイアリー終了にて再始動)

海溝の
深き滋養を
携えて

命から命へ
バトンを渡す

海から川へと
鮭は運ぶ

それが何かを
知らずとも

生き物たちは
精一杯に
今を生き
精一杯に
死んで逝く

カラスや
狐や
狸や
熊が

その身を食べて
糞をする

低きから
高きへと
死を賭して
運びし命

糞は土の肥やしとなり
芽が出て木となり
虫となる

川から海へと
流れし滋養は
底の底へと
海溝へ

巡り巡りし
その何か

巡り巡りし
その命

ならば人よ

ならば己よ

お前は
何を
運びしか

お前は
何を
守りしか

お前は
何を
携えて

今この川を
上りしか