新・青空レモン ~詩平線の彼方へ~

詩を書き綴ります(旧はてなダイアリー終了にて再始動)

D902i

長年使ってきた
黒い携帯電話
D902i

多分同年代では
携帯を持つ時期は
遅かった

他機種との選別要素は
PDFファイル
大画面
ATOK

基本的に
電話をする行為が面倒なので
旅以外では持ち歩かなかない

2006年
転職することになった自分は
車も無かったので
タクシーを呼ぶためのツール
としての目的が先だった

住み慣れると
タクシーすらも呼ばなくなり
自分の足で往復40分の道を
歩くことが普通になった

携帯の主な使途は
妹とのメール
職場からの連絡待ち受け
ぐらい

それ以外では
カレンダー替わりで
枕元にぶら下がっていた

携帯にしてから
というか
携帯の文化になってから

紙の手紙はほとんど
来ることがなくなった

たまに
紙ノートに貼り付けていた
昔の手紙を読むと
筆記の跡ならではの
時間の臨場感

デジタル化の
便利さとの引き換えに
間引かれたものたち

消えた臨場感
マテリアル

生まれた臨場感
即応性

これから死ぬまで
一体僕は
どれだけの
文字を使うのだろうか
どんな
文字を使うのだろうか

通り抜ける文字
蓄積される文字

作られた文字
作り出す文字

言葉の外骨格
文字