新・青空レモン ~詩平線の彼方へ~

詩を書き綴ります(旧はてなダイアリー終了にて再始動)

ババとイノキ

保育所にいた頃
「俺の家の2階には
ジャイアント馬場と猪木が住んでいるんだ」と
同じ組の友達が言っていた

「嘘だろ」
「いや、俺は会ったぞ」
いろいろな噂が入り混じり
皆は半信半疑

日本最東端の根室なので
リングに出るには遠すぎだ

常識的に考えたら居るはずがないことは
プロレスファンならずとも薄々とは感じていたが
本当かどうかよりも面白いかどうかが
僕らには重要だったのかもしれない

ある日、僕は彼の家に遊びに行った
2階の馬場と猪木に会いたいと懇願していたら
足取りの軽い足音がして
誰かが降りてきた

彼のお姉さんだった
「またそんなこと言ってるの!」
と、ご機嫌斜め

「今日はいないんだ」
と彼がいうので
空気を読みつつ家に帰った

母へ、その事を話すと
否定もせず
聞いてくれた

もしかしたら
今もその家の2階には
住んでいるのかもしれない

永遠の
ババとイノキが