報告書の印鑑を取りに
1階へ降りて行き
しばらくして
ズボンの右ポケットに
前から持っていたことに
気づく
それと一緒にリングされていたのは
鍵
先月、妹に誕生日プレゼントした
財布のデザインが
鍵
最近書いている詩のテーマが
鍵
鍵、鍵、鍵
私が鍵を求めているのか
鍵が私を求めているのか
私という
鍵
幻の鍵で開けられるのは
幻の鍵穴だけ
鍵穴を開けても
そこに再び現れる
鍵穴
劣化の果てに
鍵穴を失った
鍵
氷で出来た
鍵と鍵穴
溶けてしまえば
二つは一つの
水たまり