新・青空レモン ~詩平線の彼方へ~

詩を書き綴ります(旧はてなダイアリー終了にて再始動)

手のひらの彼方から

aozoraremon2013-08-25

 
この手
 
始めは水かきがついていたけれど
人間として生まれるときに
その水かきの細胞たちが
死んでいったからこそ
できた指
 
彼らが去って
残された10本の指たち
 
傷だらけの
皺だらけの
アトピーだらけの
僕の指
 
だけど
 
彼らが去って
託された10本の指たち
 
「一粒の麦もし地に落ちて死なずば、ただ一つにてあらん、死なば多くの実を結ぶべし」
エスはそう言っていた
 
一本の指には
一枚の水かきの死があったんだ
 
生と死 
 
制限のある世界で
例え見えず聞こえず触れずとも
 
一人の人間の
手のひらの彼方から
肉体の彼方から
DNAの彼方から
しっかりと
確かに
託された
何かを
感じ取れるか
 
私よ