新・青空レモン ~詩平線の彼方へ~

詩を書き綴ります(旧はてなダイアリー終了にて再始動)

思い出と忘れ出

 
入道雲
 
遺失物管理所に
ぽつんと残された
自我の
残骸
 
あの頃の僕は
まだ
何となく生きていた
 
現実は全て
外で起きていると
思っていた
 
外という
宗教を皆信じていた
外という
洗脳を皆受けていた
外という
隔離を皆疑わなかった
 
あらゆるものが
分離して見えていた
 
過去も未来も
今の中にあるなんて
思ってもみなかった
 
今の外には
何も無いんだ
 
過去も未来も
何も無いんだ
 
恐怖もワクワクも
同じエネルギーだったということ
 
期待という受動的欲望も
希望という能動的欲望も
 
この枠内の世界を楽しむための
演出だったんだ
 
全ては
欲望と言う名の
演出 
 
その欲望に
執着する事で
苦しみと迷いを
僕らは更に更に
演じることが
出来たんだ
 
時には
思いっきり怠惰になって
空しくなって
死にたくもなって
 
それでも
 
何かが違うと
 
微かに微かに
感じ続けていたんだ