新・青空レモン ~詩平線の彼方へ~

詩を書き綴ります(旧はてなダイアリー終了にて再始動)

まっちゃんよ

aozoraremon2009-02-20

 
小学生の時
クラスに
乱暴な少年がいた
 
弱い子と見れば
殴る蹴る
 
上級生と一緒に廃屋で
喫煙していたり
 
喧嘩で相手を従わせ
その相手に他の子を
いじめさせた
 
僕に憎しみを
教えてくれた
最初の少年
 
心の嵐
心の戦争
心の葛藤
 
そんな少年が
必ず泣いてしまう
イベントが毎年あった
 
それは
「席替え」だった
 
担任が席替えをするときは
いつも好きな人同士という条件だった
 
強制はせず
自主性に任せて決めていた
 
しかし
その時ばかりは
権力と暴力で従わせていた子分達も
絶対にその少年を選ぶことは無かった
 
少年は目を真っ赤にして
腕に顔を伏せて
悲鳴のように泣いていた
 
少年の弟は
白血病で幼くして亡くなった
 
中学になっても
暴力はエスカレートして
教師すら集団でリンチしていた
 
少年はその後
鑑別所へ行った
 
戻ってきた時
上級生達に取り囲まれて
リンチされ
顔面を踏みつけられていた
 
唾と涙で汚れた顔が
下駄箱の前の廊下に
横たわっていた
 
悔しそうな

 
まっちゃんよ
 
今、何してる?
 
今、生きているかい?
 
今、幸せかい?
 
今、
 
まっちゃんよ
 
辛かったんだよね
辛かったんだよね
 
苦しかったんだよね
 
俺も苦しかったよその頃
ズタズタにしてやろうと思ったけど
やめたよ
 
苦しかったんだよね
辛かったんだよね
 
寂しかったんだよね
 
あの頃
俺、何にも出来なかったけど
 
生きるって
辛いんだね
 
生きるって
でも
 
やっぱり
誰かが見てるよ
 
少なくとも
俺は忘れないよ
 
殴られた痛みなんか
とっくに忘れたけど
 
まっちゃんの
涙は
今も
ここに突き刺さっているよ