新・青空レモン ~詩平線の彼方へ~

詩を書き綴ります(旧はてなダイアリー終了にて再始動)

滋賀の夏

aozoraremon2007-09-16

 
子供の頃
ある夏に
初めて北海道を離れて
家族と一緒に行った場所
滋賀県
 
古い瓦屋根のある民家が並び
土塀が連なっていた
下水道には蓋が無く
そこに白い蛇が泳いでいた
 
夜には近所の子供達が数人来て
わざわざ自分のために
虫かごに蛍をとってきてくれた
北海道から来たということで
珍しがられた
 
朝、びっしりと
大きなカタツムリ達が
塀をよじ登っていた
 
黄緑色の艶々したカエルが
草にしがみついて
じっとこちらを見ていた
 
何もかも大きく感じられた
 
寺に鐘があった
妹と二人でついたら
怒られた
 
見るもの聞くもの
何もかもが新鮮だった
 
昼寝をさせられたのが
一番の苦痛だった

あの頃 
昼寝嫌いの自分は
よく保育所を抜け出して
すぐ隣にあった仕事場の父に見つかり
連れ戻され保母さんの手を煩わせた
 
人嫌いの自分が
何故か初めて会った親戚の
兄ちゃんの家に一人で泊まった
兄ちゃんの宝物だった
ロボットのプラモデルをもらった
 
兄ちゃんはその後
弁護士になった
 
あれからもう
三十年以上経つけれど
 
時々
思い出す
 
いつかもう一度
あの場所へ
行ってみたい