新・青空レモン ~詩平線の彼方へ~

詩を書き綴ります(旧はてなダイアリー終了にて再始動)

風に飛ぶ足跡

aozoraremon2006-10-21

 
目の前を
足跡が
飛んでいった
 
その光景は
今から10年ほど前に見た
冬の終わりが近づく
川の上の
コンクリート
 
足跡の周りにあった雪は解けて
踏み固められた
白い足跡だけが
点々と橋の上に
残っていた
 
その一歩が
風でぺらりと
剥がされて
飛んでいった
 
足跡は現れて
足跡は消えてゆく
 
雪は降り積もり
雪は消えてゆく
 
現象は
風に飛ばされる
つかの間の
足跡 
 
しかし
 
その足跡は
誰かの足跡
 
思い出の中の
足跡
 
存在の軽さよ
存在の無常よ
存在の有情よ
 
存在の足跡たちよ
 
風に飛ばされても
 
涸れることの無い
 
感動がある