新・青空レモン ~詩平線の彼方へ~

詩を書き綴ります(旧はてなダイアリー終了にて再始動)

詩人・茨木のりこさんへの弔辞

aozoraremon2006-02-20

 
朝、枕元のラジオから
彼女の弔報を告げる
ニュースキャスターの声
 
はじめて彼女の詩を読んだのは
中学生時代の国語の教科書
 
その詩のタイトルは
「自分の感受性くらい」
 
その詩は
とてもとても
自分の中で
強烈なメッセージとして
胸を貫いた
 
そして時々
その言葉が今も
弱い自分の胸を
パルサーのように
貫くことがある
 
このブログに
自分の詩を綴っていくことも
感性のメンテナンスとして
機能しているはず
 
仏教では
「法灯明」「自灯明」
ということばがある
人によらず
組織によらず
法を明かりとしなさい
自分を明かりとしなさい
という仏陀のメッセージ
 
そのメッセージと
茨木さんのその詩が
自分の中でいつも重なっていた
 
外なる障壁に翻弄されて
自分を見失わぬよう
外なる対象に責任を
転嫁して逃げようなどと
甘えぬよう
 
感性の次元での責任主体
  
この詩の響きはとても厳しい
でも
自戒の念があってこそ
感性の自由もまた
底光りして
煌めいてくるのかもしれない
 
これからもこの詩を
自戒の念として生かします
 
ありがとうございました
 
 

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『自分の感受性くらい』

 茨木のりこ 作 
 
 ぱさぱさに乾いてゆく心を
 ひとのせいにはするな
 みずから水やりを怠っておいて
 
 気難しくなってきたのを
 友人のせいにはするな
 しなやかさを失ったのはどちらなのか
 
 苛立つのを
 近親のせいにするな
 なにもかも下手だったのはわたくし
 
 初心消えかかるのを
 暮らしのせいにはするな
 そもそもが ひよわな志にすぎなかった
 
 駄目なことの一切を
 時代のせいにはするな
 わずかに光る尊厳の放棄
 
 自分の感受性ぐらい
 自分で守れ
 ばかものよ